ボードゲーム紹介:アーカム・ホラー(Arkham Horror)


TRPGクトゥルフの呼び声Call of Cthulhu)』で有名なChaosium社から発売されたクトゥルフボードゲーム。2005年にFantasy Flight Games社がリメイクしています。新版はエキスパンションもバリバリ出しているので、今ではそちらの方がスタンダードだと思いますが、今回取り上げるのは絶版となったオリジナルの方です。ちなみに旧版はホビージャパン、新版はアークライト社がそれぞれ日本での販売元になっています。
どんなゲームかというということで、ルールブックの"はじめに"から引用すると、


時は1926年、所はマサチューセッツ州アーカム、この邪悪な過去を秘めた街で奇妙な事件が次々と起きていた。謎の光が墓地で輝き、市民が一人忽然と姿を消してしまった。君は森の中の奇怪なフルートの音を聞いたか? 創立者の岩のまわりの巨大な足跡を見たか? いまやアーカムの人々はパニック同然だ。そして君だけが、勇敢な探索者たちだけがアーカムをこの想像を絶する悪の魔手から救えるのだ。


というゲームなんですが! …雰囲気はビシビシ伝わるけど、ゲームの内容が全然伝わらない(笑)ので、以下簡単に解説。ゲームの舞台となるアーカムでは異世界につながるゲートが次々に開き、クトルゥフ神話生物が街中に溢れ出します。プレイヤーの分身たる探索者たちは怪物とあるいは戦い、あるいは逃走しながらゲートを破壊していくというのが大まかな内容です。


プレイ人数:1〜8人
勝利条件:出現したゲートをすべて破壊する
敗北条件:ゲートが出現するたびに上昇する破滅値カウンターが13を超える、または
     ターン終了時に一定数以上のゲートが存在する(探索者の人数で変動)


ボードゲームというと普通はプレイヤー同士で対戦するものが多いようですが、このゲームはプレイヤー全員が勝利するか、プレイヤー全員が敗北するかのどちらか。クトゥルフ的には全滅はオッケーなので、敗北しても過程が楽しければ問題なし。そういう意味ではTRPGに非常に近いプレイ感覚と言えるかもしれません。ソロプレイが可能なのも対戦者がいないからですね。
ゲームの流れとしては、1ターンが探索者フェイズと神話フェイズに分かれて、それぞれプレイヤーが操作する探索者の行動、NPCたる怪物の行動の解決を繰り返すことで進行していきます。すごろく形式でマップを移動して、ゲート破壊のための準備をしたり、遭遇した怪物と戦ったり。TRPGクトゥルフの呼び声』と違って探索者たちは完全武装やら呪文使いまくりやらなキチガイ連中(笑)なので、結構戦えます。それでも旧支配者に勝つのは至難の業ですが(クトゥルフは物理攻撃無効のSP30…)。勝てそうになかったら逃げるのは、クトゥルフ・ゲームである以上やっぱり基本中の基本です。
で、このゲームの最大のポイントはゲート。勝利条件と敗北条件のいずれにも絡んでいることからわかる通り、このゲームをうまくプレイするためにはゲート関連のルールを把握することが欠かせません。ゲートは毎ターン神話フェイズの最初に出現判定があり、探索者が重要地点で起こすイベントでも出現することがあります。ゲートは単に破壊するだけでは再び出現してしまうため、何も考えずにゲートを破壊しても意味なし。幸い既にゲートが存在する場所にはゲートが出現しないので、ゲートが多く存在している状況では新規のゲートが出現しにくいというのがミソです。序盤はゲート破壊の準備を入念に行って、後半一気にゲートを破壊する、はっきり言ってこれしかありません。古き印が潤沢にあれば話は別ですけど。


ボードゲームが好きな方にはもちろんですが、クトゥルフのゲームを遊んでみたいけどTRPGはちょっと敷居が高い…という方にもオススメの一品。さあ、一緒にアーカムを駆け回って世界を救おう!