ライヴ・レポート:Summer Sonic 2011(東京2日目)、Public Image Ltd. in 新木場STUDIO COAST

14日のSummer Sonic(以下サマソニ)東京、15日のPublic Image Ltd.(以下PIL)単独公演に行ってきました。
PIL再結成後(Rockin'onの2011年9月号掲載"ジョン・ライドン先生のすべらない話"によると"再結成"ではなく"今日のお勤め")の初来日ということで、今回は私の中で長らくスタジオ・バンドだったPILがライヴ・バンドとして生まれ変わるメモリアルな2日間になりました。サマソニでは他にもすばらしいバンドの生演奏を聴けてよかったです。以下、ライヴ・レポートです。




サマソニ東京2日目】


◆ライヴ前のひととき
1日券で2日目のみの参戦。もちろんPIL目当てです(笑)。というわけでPILのTシャツを着て出発。9時入場開始でしたが、並ぶのが嫌で10時頃に幕張メッセに到着しました。
13時頃のDeerhunterからSonic Stageに引きこもる予定だったので、とりあえずグッズ売り場に行くものの、大量の人だかりの中で1時間近く待たされてしまいました。ところがアーティスト・グッズの売り場は意外にも閑散としている。何だろうと思ったら、実はみんなオフィシャル・グッズ目当てでした(笑)。私はサマソニ初参加だからこういう定番と思われる光景に驚くんでしょうね。何が悲しくてサマソニのダサいTシャツやタオルを買わねばならんのか…。
で、売り場で「PILのTシャツください」と言ったら、「PILのTシャツは昨日今日と人気で、大きいサイズのものしか残っていません」とのこと。PILが人気あるなんて生まれてこのかた初めて聞いたぞ(笑)。PILのTシャツは諦め、PILのタオルとThe Pop GroupのTシャツを購入。やたら高いポカリや昼メシを飲み食いしてダラダラしていたらDeerhunterの時間がきたので、Sonic Stageへ。


◆Sonic Stage!
到着すると、Sonic StageはDeerhunter開演10分前にも関わらずガラガラでした(笑)。あっさり最前列付近に陣取るとステージ上ではサウンドチェックをしており、スタッフだと思っていた奴等がそのまま演奏開始! 機材の調整をしていたのはDeerhunterのメンバー自身だったという(笑)。USオルタナティヴ・ロックの若手筆頭とも言えるバンドがこのDIYっぷり。シビれる。Deerhunterは聴いたことなくて、観客置きっぱのサイケデリックサウンドだろうと勝手に思っていたのですが、意外とアグレッシヴ。おとなしく聴いていようという目論見はあえなく破綻しました(笑)。
続くMetronomyは完全にノーマークで、The Pop Groupの前に試しに聴いておくか、という程度の気持ちだったのですが、エレクトロなダンス・サウンドに思わず体が動き出す。お前等80年代バンドか!? というMetronomyのブレイクは最近のことらしく、現在のオルタナティヴ・ロックサウンドはポストパンク以降〜グランジ以前なのだと改めて感じました。
Metronomyの後はSonic Stage本命のThe Pop Group登場。オーディエンスを唖然とさせるワケわからん演奏を期待してましたが、Deerhunterと同じく意外とアグレッシヴで取っ付きやすかったです。マーク・スチュアート(Mark Stewart)のボーカルはちゃんとイカれてましたけど。途中でマークが歌い出しのタイミングを逸し、会場が笑いに包まれることも。The Pop Groupのライヴでこんな微笑ましい光景が展開されるとは! …まあ、何だかんだで「Theif of Fire」の"Fire! Fire! Fire! Fire!"の連呼に参加しているノリノリな自分がそこにいました(笑)。


◆Mountain Stage!
The Pop Groupの後、PILまで2時間弱。そのままSonic StageでBow Wow Wowを観るか、Mountain Stageに移動してThe Jon Spencer Blues Explosion(以下ジョンスペ)を観ることもできたのですが、それまでの3アクトで全力を出してしまったためヘバリ気味に(笑)。休憩と軽い夕食でPILまで時間をつぶすことにしました。ジョンスペ終了30分前頃にMountain Stageに移動し、素早い入れ替わりを期して遠巻きに見ていましたが、ジョンスペが何やら聞き覚えのある曲をやっている。おいおい、Black Flagの「My War」じゃねえか! と嬉しい誤算で軽く盛り上がりました。
ジョンスペ終了後、会場最前列付近へ移動してPILの登場を今か今かと待ち続けること30分。…現れました!生ジョン・ライドンJohn Lydon)! 早速演奏が開始され、「This is Not a Love Song」でスタート。「Home」、「Public Image」と続き、それもいいけど2ndや3rdの曲を…と思っていたら、その後の「Albatross」と「Flowers of Romance」でガツンとやられました。途中、「続けるか?」とジョンがオーディエンスに問いかけ、それに対する私の答えはもちろん「Yeah!」。ラストは聴いたことのない曲でしたが、どうやらLeftfieldの「Open Up」という曲のようです。ジョンが参加した曲ということで存在自体は知ってましたが、聴くのは初めて。…というわけで時間も押して約1時間半、たっぷり楽しませてもらいました。


◆衝撃の結末
PILのメンバーがステージを去り、ライヴの余韻に浸っていたのも束の間、後方からの突然の圧力! しまった、この後は某Kポップ・アイドル・グループだった!(笑) 押し寄せる人の波に揉まれての前方からの脱出は、さながらモッシュに巻き込まれたかのよう。認めたくない現実ですが、PILはアイドル・グループの前座にさせられてしまったのです!(笑) サマソニ運営は何考えてんだ!? PILのライヴ中もこいつ等アイドル・ファンの人たちが相当紛れ込んでいたんだろうなあ…。翌日のPIL単独公演はPILファンだけで楽しみたいもんだと思いつつ、後味の悪さを感じながら幕張メッセを後にしました。




【PIL単独公演】


サマソニ参戦の翌日、目が覚めるとキーンという耳鳴り、声はガラガラ、首は回らない、腕は上がらない、足は引きずるよう、とライヴの定番後遺症に悩まされました。予想はしていましたが、実際にこういう状態になるとPIL単独公演ではとても昨日のようにはハジけられないと感じたので、会場の後方に位置しておとなしく楽しませてもらおうかと考えながら出発。
会場となる新木場STUDIO COASTには入場開始の18時少し前に到着しました。以前に別のバンドのライヴで一度来ているので、特に問題なく入場して軽く中を散策。PILの紙ジャケ・リマスター盤が売っていたり、Tシャツが売っていたり。グッズ売り場には長い列ができていたのでショッピングは控え、ドリンクを飲み干して会場内に移動。後方の位置を確保して、じっくり鑑賞モードは万全でしたが…。実際にPILが現れて演奏が始まるとそんなことはどうでもよくなり、結局踊り狂うことに(笑)。
セットリストは前日のサマソニ東京2日目と基本的に同じで、随所に+αの曲を散りばめながらの進行でした。2ndアルバム『Metal Box』からは「Poptones」や「Memories」を、7thアルバム『9』からは隠れた名曲「U.S.L.S. 1」を追加してくれたのが嬉しかったです。期待していた3rdアルバム『The Flowers of Romance』からの追加曲はなかった! 残念! …とはいえ、会場が狭い分、音響もサマソニのMountain Stageとは比べ物にならないくらいよくて、前日に既に聴いていた曲も改めて楽しめました。
最後はジョンがスタッフを紹介して労う感動的な場面となり、Sex Pistols以来のイカれたジョニー・ロットン(Johnny Rotten)のイメージを改めた人も多かったのではないでしょうか。大団円で幕を閉じたPILの来日ライヴ、本当に素晴らしかったです。新譜も期待してるけど、近いうちにまた来日してくれよ、ジョン!